【話し合っているはずなのに、なぜか毎回すれ違う理由】

 Fromシンヤ(男女のパートナーシップ研究所)

夫婦関係のご相談を受けていると、よく聞く言葉があります。

「ちゃんと話し合っているのに、全然分かり合えないんです」

「何度も同じ話をしているのに、結局またケンカになります」

「話し合えば話し合うほど、距離ができていく気がします」

これ、すごく苦しいですよね。

なぜなら、本人たちは逃げているわけではないからです。

むしろ、向き合おうとしている。

関係を良くしたいと思っている。

ちゃんと伝えようとしている。

それなのに、なぜか毎回すれ違ってしまう。

話し合いの後に残るのは、理解された安心感ではなく、

「また分かってもらえなかった」

「結局、自分ばかり責められた」

「話してもムダだった」

という疲れだけだったりします。

でも、ここで大事なのは、

話し合っているのにすれ違う夫婦は、努力不足なのではないということです。

むしろ、頑張っているのに、話し合いの向いている方向がズレていることが多いのです。

同じテーマを話しているようで、実は違うものを話している

夫婦のすれ違いで多いのは、表面上は同じ話題を話しているのに、内側ではまったく違うものを話しているケースです。

たとえば、妻が、

「もっと家のことを気にしてほしい」

と言ったとします。

夫からすると、これは家事の分担の話に聞こえるかもしれません。

だから、

「じゃあ、ゴミ出しは俺がやるよ」

「洗い物もできる時はやるよ」

と具体的な対策を出す。

もちろん、それ自体は悪くありません。

でも、妻が本当に言いたかったのは、

「私がひとりで背負っている感じに気づいてほしい」

「私の大変さを分かってほしい」

「家族のことを一緒に考えている感覚がほしい」

だったりします。

一方で、夫は夫で、

「自分なりにやっているのに、また足りないと言われた」

「何をしても認めてもらえない」

「結局、責められている」

と感じてしまう。

こうなると、妻は「気持ち」を話しているつもりなのに、夫は「作業量」の話として受け取る。

夫は「解決策」を出しているつもりなのに、妻は「気持ちを流された」と感じる。

同じテーブルについて、同じ言葉を使っているのに、見ている景色が違うのです。

これは、どちらかが悪いという話ではありません。

人は、自分が受け取りやすい形で相手の言葉を受け取ってしまうからです。

だからこそ、話し合いでは、

「今、自分たちは何について話しているのか」

を確認する必要があります。

家事の分担の話なのか。

気持ちを分かってほしい話なのか。

これからのルールを決めたい話なのか。

過去の傷つきを聞いてほしい話なのか。

ここがズレたままだと、どれだけ真剣に話しても、なぜか噛み合わなくなってしまいます。

#相手を分かろうとする前に、自分を守るモードに入ってしまう

話し合いがすれ違うもうひとつの理由は、相手の言葉を聞く前に、自分を守るモードに入ってしまうことです。

これは夫婦関係では本当によく起きます。

たとえば、

「最近、全然話を聞いてくれないよね」

と言われた瞬間に、

「いや、聞いてるじゃん」

「俺だって疲れてるんだよ」

「じゃあ、そっちはどうなの?」

と返したくなる。

これは、相手の気持ちを受け止める前に、自分が責められたと感じて、防衛反応が出ている状態です。

逆に、夫が、

「もう少し穏やかに言ってほしい」

と言った時に、妻が、

「じゃあ、私が悪いってこと?」

「こっちはずっと我慢してきたんだけど」

「あなたがちゃんとしてくれないからでしょ」

と返してしまうこともあります。

これも同じです。

相手の言葉を聞いているようで、実際には、

「自分が悪者にされるのではないか」

「また否定されるのではないか」

「自分の立場がなくなるのではないか」

という不安に反応しているのです。

僕自身も、夫婦関係の中でこれを何度もやってきました。

サヤに何かを言われた時に、内容をちゃんと聞く前に、

「いや、それはこういう理由があって」

「別にそういうつもりじゃなくて」

と説明したくなることがありました。

自分では「説明」しているつもりなんです。

でも、相手からすると、

「また言い訳された」

「私の気持ちは置いていかれた」

と感じる。

これに気づいた時に、話し合いで大事なのは、正しい説明をすることよりも、

まず相手の心がどこで傷ついたのかを見ることなんだなと思いました。

もちろん、自分の言い分を伝えることも大事です。

でも、その前に、

「そう感じていたんだね」

「そこがつらかったんだね」

「そう受け取らせてしまったんだね」

と、一度相手の世界に立ってみる。

これがないまま自分の正しさを出すと、話し合いは一気に「裁判」のようになってしまいます。

そして、裁判になると、夫婦はどちらも負けたくなくなります。

本当は仲直りしたいのに、いつの間にか勝ち負けの話になってしまうのです。

話し合いの目的が「理解」ではなく「相手を変えること」になっている

話し合いがこじれる時、本人たちは気づかないうちに、目的がすり替わっていることがあります。

最初は、

「分かり合いたい」

だったはずなのに、途中から、

「相手に分からせたい」

になってしまう。

「私の気持ちを理解してほしい」

が、

「だから、あなたは変わるべき」

になる。

「俺の事情も分かってほしい」

が、

「だから、もう文句を言わないでほしい」

になる。

こうなると、相手は話を聞いているようで、心の中では抵抗します。

なぜなら、人は変えられようとすると、守りたくなるからです。

特に夫婦関係では、相手から変えられようとした瞬間に、

「支配される」

「コントロールされる」

「自分を否定される」

と感じやすくなります。

もちろん、夫婦関係を続けていく以上、行動を変える必要がある場面はあります。

言い方を変える。

家事や育児の分担を変える。

お金の使い方を見直す。

スマホの使い方を考える。

異性との距離感を整える。

そういう具体的な変化は必要です。

ただ、その前に、

「なぜ、それが相手にとって大事なのか」

「相手は何を失っていると感じているのか」

「自分は何を守りたいと思っているのか」

を分かち合う時間が必要です。

ここを飛ばして、いきなり改善策に入ると、表面上は話し合っているのに、心の奥では置いてけぼりになります。

そして、置いてけぼりになった心は、次のケンカでまた出てきます。

だから、

「前にも話したよね」

「また同じ話?」

という言葉が出てきます。

本当は同じ話をしているのではありません。

前回、気持ちがちゃんと受け取られなかったから、もう一度出てきているのです。

#すれ違いを減らすには、結論を急がないこと

話し合いが苦手な夫婦ほど、早く結論を出そうとします。

「じゃあ、どうすればいいの?」

「で、結局何が言いたいの?」

「解決策を決めよう」

もちろん、結論は大事です。

でも、夫婦関係の話し合いでは、結論より先に必要なものがあります。

それは、

「あなたはそう感じていたんだね」

という理解です。

人は、理解されたと感じると、少しずつ聞く姿勢が戻ってきます。

逆に、理解されていないと感じると、どれだけ正しい提案をされても受け取れません。

だから、話し合いが毎回すれ違う時には、まず結論を急がないことです。

解決策を出す前に、

「今の話は、気持ちを聞いてほしい話?」

「それとも、具体的に決めたい話?」

と確認してみる。

相手が話している途中で、

「それは違う」

「でも」

「だって」

と返したくなったら、一度だけ飲み込んでみる。

そして、

「そう感じた理由をもう少し聞かせて」

と言ってみる。

これだけで、話し合いの空気が変わることがあります。

夫婦の話し合いで大事なのは、相手を論破することではありません。

相手の言葉の奥にある、寂しさ、不安、怒り、あきらめ、願いに気づくことです。

そして、自分の中にある、怖さ、疲れ、孤独、認めてほしさにも気づくことです。

話し合っているのにすれ違うのは、愛情がないからとは限りません。

むしろ、愛情があるからこそ期待して、期待しているからこそ傷ついて、傷ついているからこそ防衛してしまうこともあります。

だからこそ、話し合いがうまくいかない時には、

「もっと正しく伝えよう」

の前に、

「今、相手は何を分かってほしいんだろう」

と立ち止まってみてください。

そこから、夫婦の会話は少しずつ変わっていきます。

分かり合えない夫婦ではなく、分かり合う順番を間違えているだけ

夫婦関係がこじれている時、多くの人は、

「私たちは合わないのかもしれない」

「もう分かり合えないのかもしれない」

と思ってしまいます。

でも、実際には、分かり合えない夫婦なのではなく、分かり合う順番を間違えているだけのことも多いです。

先に正しさをぶつけるのではなく、先に気持ちを受け取る。

先に解決策を出すのではなく、先に傷つきを理解する。

先に相手を変えようとするのではなく、先に自分の反応に気づく。

この順番を変えるだけで、同じテーマを話していても、会話の質は変わります。

もちろん、すぐにうまくいくとは限りません。

長い間すれ違ってきた夫婦ほど、最初はぎこちなくなります。

「そう感じていたんだね」と言うだけでも、わざとらしく感じるかもしれません。

でも、それでもいいのです。

最初から自然にできなくても、少しずつで大丈夫です。

大切なのは、相手を負かすための話し合いではなく、もう一度つながるための話し合いに戻していくことです。

そのためには、言葉の内容だけではなく、その奥にある気持ちを見ていく必要があります。

夫婦のすれ違いは、話し合いの量だけでは解決しません。

必要なのは、話し合いの「深さ」と「順番」です。

そこが変わった時、今まで何度話しても届かなかった言葉が、少しずつ相手の心に届き始めることがあります。

P.S.
夫婦関係がギクシャクした時には、自分ひとりで解決しようとして、孤独を感じてしまいがちです。
そんな時には、第三者の力を借りることも良い選択肢です。
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