【平和を優先させて、「パートナーに言いたいことを言わない生活」を続けた先に待っているもの】

 Fromシンヤ(男女のパートナーシップ研究所)

「これを言ったら、また空気が悪くなるかもしれない。」

「どうせ言っても分かってもらえない。」

「今は穏やかに過ごせているんだから、わざわざ波風を立てなくてもいい。」

夫婦関係の中で、そんなふうに言葉を飲み込んだことがある人は、きっと少なくないと思います。

相手を困らせたいわけではないし、ケンカをしたいわけでもない。

家の中を穏やかに保ちたいから、自分が少し我慢すればいい。

そう考えて、本当は伝えたかったことを胸の奥へしまっていく。

一度や二度なら、それでやり過ごせることもあります。

でも、その生活が何年も続いた先にあるのは、本当に望んでいた平和なのでしょうか。

ケンカをしないことが、いつの間にか目的になる

夫婦関係がギクシャクし始めると、いつの間にか「分かり合うこと」よりも、「ケンカを起こさないこと」が優先されるようになります。

相手の機嫌を損ねそうな話題は避ける。

納得していなくても、「そうだね。」と合わせる。

寂しくても、忙しそうだからと言わない。

本当は手伝ってほしくても、「自分でやった方が早い。」と諦める。

こうして表面的には、大きな衝突が減っていきます。

すると、「最近はケンカもしていないし、前より落ち着いているかもしれない。」と感じます。

でも、ケンカがなくなった理由が、お互いに理解し合えたからではなく、どちらかが話すことを諦めたからだとしたら、その静けさは回復ではありません。

それは、関係が遠くなっただけです。

僕はこれまで多くの夫婦のお話を聞いてきましたが、

「今はあまりケンカをしません。」

と話していた方が、少し時間をかけて気持ちをたどっていくと、

「言っても変わらないと思って、もう何も言わなくなりました。」

と話されることがあります。

平和に見える夫婦の間に、諦めが静かに積み重なっていることは、珍しくありません。

言わないことで守られるのは、平和ではなく現状

言いたいことを言わないと、その場の空気は守れます。

だからこそ、沈黙はとても合理的に見えます。

けれど、守られているのは平和ではなく、今のガマンする関係の形です。

本当はもっと話を聞いてほしいのに言わない。

スキンシップが減って寂しいのに言わない。

家事や育児の負担が偏って苦しいのに言わない。

傷つく言い方をやめてほしいのに言わない。

すると相手は、問題があること自体に気づけません。

何も言われていないから、大丈夫だと受け取ることもあります。

その結果、我慢している側は、

「こんなに苦しいのに、どうして分かってくれないの。」

と感じ、言われていない側は、

「急にそんなことを言われても分からない。」

と感じます。

長い間守ってきたはずの平和が、ある日突然、大きな断絶として表に出ることがあります。

本当は突然ではありません。

言えなかった言葉が、見えないところで積み重なっていただけなんです。

相手を傷つけないための沈黙が、自分を消していく

言わない生活を続けていると、少しずつ自分の気持ちが分からなくなっていきます。

最初は、「本当は嫌だった。」と分かっていたことも、何度も飲み込むうちに、「自分が気にしすぎなのかもしれない。」に変わっていきます。

さらに時間がたつと、「もうどうでもいい。」と感じるようになることもあります。

でも、どうでもよくなったのではありません。

感じると苦しいから、感じないようにしていることがあります。

僕自身も過去のパートナーシップで、関係を悪くしたくないために、言わない方を選んだことが何度もあります。

角が立つのは面倒だし、「今ここで話さなくてもいいか。」と思ってしまう。

けれど、そこで自分の気持ちをなかったことにすると、相手との距離だけでなく、自分自身との距離も開いていきます。

以前、サヤが疲れていた時に、僕は「それをやめた方がいいんじゃない。」と、すぐに解決策を出していたことがありました。

僕としては助けようとしていたのですが、サヤが本当に求めていたのは、解決策より先に、

「大変だったね。」

と気持ちを受け止めてもらうことでした。

それを言葉にしてくれたから、僕は初めて、自分の善意と相手が求めているものがずれていたことに気づけました。

その後も、何度も僕の言葉や対応に対してサヤから

「違う!そうじゃない!」

と言われることがあります。

もちろん、言われた時は凹みます。

でも、もしサヤが、空気を悪くしたくないからと何も言わずにいたら、僕はサヤがカマンしているとも知らずに、

「自分はちゃんとやれている。」

と思い続けているかもしれません。

本音は、相手を責めるための材料ではなく、相手がこちらを理解するための情報でもあるんです。

本音を伝えることと、相手を責めることは違う

ここまで読んで、「でも、本音を言ったらケンカになる。」と思った人もいるかもしれません。

たしかに、思ったことをそのままぶつければ、相手は責められたと感じます。

大切なのは、本音を我慢するか、感情のままぶつけるかの二択にしないことです。

「あなたは何もしてくれない。」

ではなく、

「最近ひとりで抱えている感じがして、少ししんどい。」

「どうして分かってくれないの。」

ではなく、

「今は解決策より、まず気持ちを聞いてもらえると助かる。」

「もうどうでもいい。」

ではなく、

「何度か伝えても変わらないと感じて、諦めそうになっている。」

相手を主語にして裁くのではなく、自分の中で何が起きているのかを伝える。

それだけでも、本音は攻撃ではなく、対話の入り口になります。

関係を守るのは、波風のない毎日ではなく、戻ってこられる対話

本当に安心できる夫婦関係は、何も問題が起きない関係ではありません。

違いが出ても、誤解が起きても、話し合いながら戻ってこられる関係です。

意見がぶつかることよりも怖いのは、ぶつかることさえ諦めてしまうことです。

言いたいことを言わない生活は、しばらくの間、家の中を静かに保ってくれます。

でも、その静けさと引き換えに、自分の気持ちが見えなくなり、相手もあなたを知る機会を失っていきます。

平和とは、どちらかが我慢して音を立てないことではありません。

違いがあっても、怖さがあっても、少しずつ言葉を交わせることです。

今まで言えなかったことを、全部一度に伝える必要はありません。

まずは、「本当はこう感じていた。」と、自分の気持ちに気づくところからでいい。

そして、相手を変えるためではなく、もう一度つながるために、小さな言葉として渡していく。

沈黙で守る平和より、本音を持ち寄ってつくる安心の方が、夫婦を長く支えてくれると僕は思います。

P.S.
夫婦関係がギクシャクした時には、自分ひとりで解決しようとして、孤独を感じてしまいがちです。
そんな時には、第三者の力を借りることも良い選択肢です。
あなたの夫婦関係に何が起きているのかを、男女両方の視点から客観的に分析し、解決策を一緒に探っていく「シンヤ&サヤの結婚生活再構築コンサルティング(オンライン)」を活用してみてください。

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