Fromシンヤ(男女のパートナーシップ研究所)
「なんでそんなに怒るの?」
「そんな言い方しなくてもいいじゃん」
「ちょっと落ち着いてから話そうよ」
夫婦や恋人との話し合いで、相手が感情的になった時、こんなふうに対応したことはありませんか。
言っている側としては、相手を傷つけたいわけではないと思います。
むしろ、これ以上ケンカを大きくしたくない。
冷静に話し合いたい。
ちゃんと解決したい。
そんな気持ちから出ている言葉かもしれません。
ただ、感情的になっている相手に対して、対応を間違えると、火に油を注ぐことがあります。
特に夫婦関係では、内容そのものよりも、「その時どう受け止められたか」が、あとあとまで残ることがあります。
僕も夫婦関係の相談を受けている中で、よく感じることがあります。
それは、多くの場合、問題を悪化させているのは「相手の感情そのもの」ではなく、その感情に対する反応のズレだということです。
今回は、感情的になった相手にやってはいけない対応を3つに絞ってお伝えします。
1つ目は、正論で黙らせようとすること
感情的になった相手に対して、一番やりがちなのが正論で返すことです。
「でも、それは事実と違うよね」
「前にも説明したよね」
「そんなふうに受け取るのはおかしいよ」
「こっちにも事情があるんだけど」
こう言いたくなる気持ちは、すごく分かります。
特に男性側は、相手が感情的になっていると、「この状況を論理的に整理しなければ」と感じやすいです。
相手の言っていることの矛盾を見つけたり、事実関係を確認したり、原因と結果を整理したりします。
でも、感情が高ぶっている相手がその瞬間に求めているのは、正確な議事録ではないことが多いです。
まずは、「私は今、苦しい」「私は今、分かってほしい」「私は今、ひとりにされている感じがする」という感情の受け止めです。
ここで正論を出すと、相手の中ではこう変換されます。
「ああ、この人は私の気持ちより、自分の正しさを守りたいんだ」
「私のつらさは、また否定されるんだ」
「この人に話しても、結局分かってもらえないんだ」
もちろん、正論が悪いわけではありません。
事実確認が必要な場面もあります。
誤解を解くことが大事な場面もあります。
ただ、順番が違うのです。
感情が強く出ている時に、いきなり正論で入ると、相手は理解された感覚を持てません。
まずは、
「そう感じたんだね」
「その言い方をされると、すごく傷ついたんだね」
「今、かなり苦しかったんだね」
このように、相手の感情を一度受け止めることが大事です。
受け止めることと、相手の主張をすべて認めることは違います。
ここを混同すると、受け止めたら負けだと感じてしまいます。
でも実際には、受け止めることは降参ではありません。
話し合いの土台を作ることです。
2つ目は、「落ち着いて」と言って感情を止めようとすること
感情的になった相手に対して、
「落ち着いて」
「冷静になって」
「そんなに怒らないで」
と言いたくなることがあります。
これも言う側としては、悪気がないことが多いです。
相手が泣いていたり、怒っていたり、強い言葉を使っていたりすると、こちらも怖くなります。
早くこの空気を終わらせたい。
これ以上責められたくない。
自分も傷つきたくない。
そんな防御反応として、「落ち着いて」が出てきます。
ただ、感情が高ぶっている相手にとって、「落ち着いて」は、かなり冷たく聞こえることがあります。
なぜなら、相手の中では、
「私の感情が迷惑なんだ」
「この気持ちは出してはいけないんだ」
「また、私が悪者にされるんだ」
と感じやすいからです。
特に女性の場合、感情を言葉にしながら、自分の中の混乱を整理していることがあります。
まだ結論が出ていない。
自分でも何に一番傷ついているのか分からない。
だからこそ、言葉にしながら探っている。
そんな状態の時に、「落ち着いて」と言われると、整理の途中でシャッターを下ろされたように感じるのです。
もちろん、暴言や人格否定を受け続ける必要はありません。
「何を言われても我慢しなさい」という話ではありません。
ただ、相手の感情そのものを止める言い方ではなく、場を守る言い方に変えることが大事です。
たとえば、
「今、すごくつらい気持ちなんだよね。ちゃんと聞きたいから、少しゆっくり話してもらえる?」
「責められている感じがすると、僕も防御に入ってしまうから、気持ちは聞きたいけど、言い方だけ少し柔らかくしてもらえると助かる」
「今すぐ完璧に答えられないけど、逃げたいわけじゃない。少し整理しながら聞かせてほしい」
このように言うと、相手の感情を否定せずに、話し合いの安全性を作りやすくなります。
大事なのは、「感情を消してから来て」ではなく、「感情があるままでも話せる形にしよう」という姿勢です。
ここが伝わるだけで、相手の反応はかなり変わります。
3つ目は、黙る・逃げる・話題を変えること
感情的になった相手を前にすると、黙ってしまう人も多いです。
何を言っても怒られそう。
下手に反論すると、もっと大きなケンカになりそう。
だから、とりあえず黙る。
あるいは、部屋を出る。
スマホを見る。
テレビをつける。
仕事の話に切り替える。
本人としては、これ以上悪化させないための避難かもしれません。
でも、相手から見ると、こう見えることがあります。
「無視された」
「また逃げられた」
「私の気持ちはどうでもいいんだ」
「この人は向き合う気がないんだ」
ここで大きなズレが起きます。
黙る側は、「これ以上傷つけないために黙っている」と思っている。
でも、感情的になっている側は、「私が傷ついているのに、また置いていかれた」と感じている。
このズレが積み重なると、相手はさらに強く訴えるようになります。
強く言えば、やっと反応してくれるかもしれない。
泣けば、やっと向き合ってくれるかもしれない。
怒れば、やっと分かってくれるかもしれない。
すると、黙る側はさらに怖くなって引きこもる。
感情を出す側はさらに孤独になって強くなる。
この悪循環に入ると、話し合いをするほど関係が苦しくなっていきます。
だから、黙りたくなった時ほど、完全に消えないことが大事です。
たとえば、
「今、頭が真っ白になっていて、すぐにうまく返せない。でも、聞く気がないわけじゃない」
「少し時間をもらえたら、ちゃんと戻って話したい」
「このままだと僕も防御に入ってしまうから、10分だけ落ち着いてから話したい」
このように、自分の状態と言葉をセットで伝えることです。
ただ黙るのと、「今は言葉が出ないけど、向き合う気持ちはある」と伝えるのでは、相手の受け取り方がまったく違います。
大事なのは、距離を取ることそのものではありません。
距離を取る時に、「戻ってくる安心」を残すことです。
感情的な相手に必要なのは、勝つことではなく安心を戻すこと
感情的になった相手を前にすると、こちらも揺れます。
責められているように感じる。
理不尽に感じる。
自分ばかり悪者にされているように感じる。
だから、防御したくなるのは自然なことです。
僕自身も、夫婦の中で感情がぶつかる場面では、つい自分を守る反応が出そうになることがあります。
「いや、それは違う」
「そんなつもりじゃない」
「そこまで言わなくてもいいじゃん」
そう言いたくなる瞬間はあります。
でも、そこで最初に自分の正しさを守りに行くと、相手の孤独感が深くなることがあります。
感情的になった相手に必要なのは、まず「この人は敵じゃない」と感じられることです。
その安心が少し戻ってからでないと、話し合いは始まりません。
正論を言う前に、感情を受け止める。
落ち着かせる前に、つらさを認める。
黙って消える前に、戻ってくる意思を伝える。
この順番が変わるだけで、夫婦の話し合いはかなり変わります。
感情的になる相手が悪い。
黙る相手が悪い。
そうやってどちらかを悪者にするのではなく、2人の間で何が起きているのかを見ることが大事です。
感情は、敵ではありません。
本当は分かってほしいというサインです。
そのサインをどう受け取るかで、関係は壊れる方向にも、つながり直す方向にも進んでいきます。
まずは次に相手が感情的になった時、「反論する前に一度受け止める」を試してみてください。
それだけでも、2人の空気は少し変わるはずです。
P.S.
夫婦関係がギクシャクした時には、自分ひとりで解決しようとして、孤独を感じてしまいがちです。
そんな時には、第三者の力を借りることも良い選択肢です。
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