【夫婦関係は「努力」より「構造」で決まる】

 Fromシンヤ(男女のパートナーシップ研究所)

夫婦関係がうまくいかない時、多くの人はこう考えます。

「もっと自分が我慢すればいいのかな」

「もっと優しくすればいいのかな」

「もっと話し合えば、分かり合えるのかな」

もちろん、努力は大事です。

相手を思いやること。

感謝を伝えること。

自分の悪かったところを認めること。

これらは夫婦関係にとって、とても大切なことです。

でも、僕は最近こう思うようになりました。

夫婦関係は、努力だけでは変わらないことがある。

むしろ、夫婦関係を決めているのは、

「どれだけ頑張っているか」よりも、

「どんな構造の中で関わっているか」

なのかもしれません。

頑張っているのに、うまくいかない夫婦がいる

夫婦関係の相談を受けていると、

「この人たちは努力していないわけではない」

と感じることがよくあります。

むしろ、すごく頑張っています。

相手に気を遣っている。

何度も話し合おうとしている。

自分なりに反省もしている。

家庭を壊したいわけではない。

それなのに、なぜか関係が良くならない。

話し合うたびにケンカになる。

優しくしたつもりが、相手には伝わらない。

我慢しているうちに、ある日爆発してしまう。

そして最後には、

「やっぱり私たちは合わないのかな」

「自分の努力が足りないのかな」

と、自分か相手を責める方向に進んでしまいます。

でも、そこで見落とされがちなのが、

夫婦の間にある“構造”です。

構造とは何か?

ここで言う構造とは、難しいものではありません。

たとえば、

どちらか一方だけが我慢する関係。

どちらか一方だけが話し合いを求める関係。

片方が追いかけ、片方が逃げる関係。

言いたいことを言うと、必ず相手が不機嫌になる関係。

問題が起きても、なかったことにする関係。

家事、育児、仕事、感情のケアの負担が偏っている関係。

こういう「いつものパターン」のことです。

夫婦関係では、問題の中身そのものよりも、

その問題が起きた時に、二人がどんな動きをするかが重要です。

たとえば、妻が不満を伝える。

夫が責められたと感じて黙る。

妻は無視されたと感じて、さらに強く言う。

夫はさらに黙る。

妻はもっと怒る。

夫はもっと逃げる。

こうなると、二人とも苦しくなります。

妻は、

「私はただ分かってほしいだけなのに」

と思っています。

夫は、

「何を言っても責められるだけだから、黙るしかない」

と思っています。

どちらか一方が悪いというより、

二人がその構造の中に入ってしまっているのです。

努力が逆効果になることもある

怖いのは、構造が変わらないまま努力すると、

その努力が逆効果になることがあることです。

たとえば、妻が関係を良くしたくて、何度も話し合おうとする。

でも夫にとっては、それが「また責められる時間」に感じられる。

すると夫は避ける。

避けられた妻は、さらに不安になる。

不安になるから、もっと話し合いたくなる。

そして夫は、もっと逃げたくなる。

この場合、妻は努力しています。

でも、その努力が「追う側」と「逃げる側」の構造を強めてしまうことがあります。

逆もあります。

夫が波風を立てないように、黙ってやり過ごそうとする。

本人としては、ケンカを避ける努力をしているつもりです。

でも妻から見ると、

「向き合ってくれない」

「私の気持ちを大事にしてくれない」

と感じます。

すると妻の怒りや孤独感は、さらに大きくなります。

この場合も、夫は努力しています。

でも、その努力が「向き合わない人」と「訴え続ける人」の構造を強めてしまうのです。

努力そのものが悪いわけではありません。

ただし、構造に合っていない努力は、関係を良くするどころか、同じ問題を深めてしまうことがあります。

「どちらが悪いか」より「何が起きているか」

夫婦関係がこじれると、どうしても犯人探しになりやすいです。

「あなたが冷たいから」

「お前がすぐ怒るから」

「私ばかり我慢している」

「俺だって頑張っている」

もちろん、傷ついたことをなかったことにする必要はありません。

裏切り。

暴言。

無視。

不誠実な行動。

そういうものには、きちんと向き合う必要があります。

ただ、関係を変えていくためには、

「どちらが悪いか」だけで止まらずに、

「二人の間で何が繰り返されているのか」

を見る必要があります。

毎回どのタイミングで空気が悪くなるのか。

どの言葉で相手の防衛反応が出るのか。

どちらが追いかけ、どちらが逃げるのか。

どちらが感情を爆発させ、どちらがシャットダウンするのか。

どちらが本音を飲み込み、どちらが気づかないまま過ごしているのか。

ここが見えてくると、

「自分がダメだから」

「相手がひどいから」

という見方だけではなく、

「このパターンに二人で巻き込まれているんだ」

と見られるようになります。

これは、相手を許すという意味ではありません。

問題をぼかすという意味でもありません。

ただ、変えるべき対象が少し変わるのです。

相手の性格を変えるのではなく、

二人の間にあるパターンを変える。

ここが大事です。

愛情があっても、構造が悪いとすれ違う

夫婦関係でよくある誤解があります。

それは、

「愛情があれば、自然とうまくいく」

というものです。

もちろん、愛情は大切です。

でも、愛情があるのにうまくいかない夫婦はたくさんいます。

愛情はある。

家族として大事に思っている。

離婚したいわけではない。

でも、話すと苦しくなる。

近づくと傷つく。

期待すると裏切られたように感じる。

だから、だんだん距離を取る。

これは、愛情がゼロだから起きているとは限りません。

関係の構造が、愛情を伝わりにくくしていることがあるのです。

たとえば、夫は家族のために働いているつもり。

でも妻は、感情的なつながりがなくて孤独を感じている。

妻は夫に分かってほしくて不満を伝える。

でも夫は、自分の努力を否定されたように感じる。

夫は黙る。

妻はさらに寂しくなる。

この時、二人とも家族を大事に思っているかもしれません。

でも、構造が悪いと、その思いが相手に届かないのです。

 夫婦関係を変える第一歩は、構造に名前をつけること

では、どうすればいいのか。

最初の一歩は、

「私たちの間では、何が繰り返されているのか」

に名前をつけることです。

たとえば、

「うちは、私が追いかけて、あなたが逃げるパターンになりやすいね」

「お互いに責められたと感じると、防御モードに入るよね」

「本当は寂しい話なのに、いつも怒りの形で出てしまうね」

「問題が起きた時に、二人とも一人で抱え込む構造になっているね」

こんなふうに、二人の間で起きていることを言葉にする。

これだけでも、少し距離が取れます。

「あなたが悪い」

ではなく、

「このパターンが苦しい」

と見られるようになるからです。

夫婦関係では、相手を敵にすると苦しくなります。

でも、二人の間にある悪循環を敵にできると、少し変わります。

相手 vs 自分。

ではなく、

二人 vs 悪循環。

この形にできると、関係は変わり始めます。

 必要なのは、もっと頑張ることではない

夫婦関係が苦しい時、

「もっと頑張らなきゃ」

と思う人は多いです。

もっと優しく。

もっと我慢して。

もっと話し合って。

もっと相手を理解して。

でも、すでに十分頑張っている人もいます。

むしろ必要なのは、

さらに頑張ることではなく、

頑張り方を変えることです。

今までと同じ構造の中で努力するのではなく、

構造そのものを見直すこと。

話し合うタイミングを変える。

言い方を変える。

一度クールダウンするルールを作る。

片方だけが抱え込まない仕組みにする。

感情が爆発してから話すのではなく、小さな違和感の段階で共有する。

問題が起きた時に、勝ち負けではなく「二人にとって何が必要か」を考える。

こういう小さな構造の変更が、夫婦関係には大きく効いてきます。

夫婦関係は、才能ではなく設計で変わる

夫婦関係がうまくいっている人を見ると、

「相性がいいんだろうな」

「もともと穏やかな二人なんだろうな」

と思うかもしれません。

もちろん、相性や性格もあります。

でも、それだけではありません。

うまくいっている夫婦は、

問題が起きない夫婦ではありません。

ケンカをしない夫婦でもありません。

違いがない夫婦でもありません。

むしろ、違いが出た時にどう扱うか。

感情的になった時にどう戻ってくるか。

すれ違った時にどう修復するか。

その構造がある夫婦なのだと思います。

夫婦関係は、気合いだけでは続きません。

愛情だけでも、うまく回らないことがあります。

でも、構造を見直すことはできます。

二人の間で何が起きているのかを見る。

悪循環に名前をつける。

責め合いではなく、仕組みを変える。

その積み重ねが、関係を少しずつ変えていきます。

夫婦関係は、「努力不足」で壊れるとは限りません。

むしろ、努力しているのに苦しくなっている夫婦ほど、

見るべきなのは努力の量ではなく、

関係の構造なのかもしれません。

P.S.
夫婦関係がギクシャクした時には、自分ひとりで解決しようとして、孤独を感じてしまいがちです。
そんな時には、第三者の力を借りることも良い選択肢です。
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