From シンヤ&サヤ(男女のパートナーシップ研究所)
(→前回のつづき)(→この記事のシリーズを1話目から読む)
※サヤと出会ったばかりの頃の体験談を、シンヤ視点(男性脳視点)で描いたストーリーの続きです。
サヤの母校である青山学院の学食で、僕はサヤの前で自分の弱みの全てをさらけ出すことにしました。
本当は戦略的に考えると、先に付き合い始めた後で、自分のネガティブポイントを伝えた方が有利です。
男性脳は瞬間的に相手を好きになるのに対して、女性脳は徐々に相手を好きになる仕組みです。
このタイムラグがあることで、よく男性は女性に対するアプローチが早すぎて空回りしてしまいます。
でも逆に言えば、一度付き合った後は、女性の恋愛ダイヤルが「大」の側になります。
すると、そうカンタンには元に戻りません。
つまり、付き合っている男性のネガティブポイントが後から判明しても、女性脳は許容してしまうのです。
他の女性から見たら、どう見てもダメ男の彼氏となかなか別れられない女性が多いのは、この脳の仕組みも関係していると言われています。
だから本当は、男性にとってはネガティブポイントは付き合った後で打ち明けた方が良いのです。
ただ、僕はもう、この戦略を使える状況ではありませんでした。
サヤと付き合って結婚するためには、事前にすべてをさらけ出して、受け入れてもらえるかどうか?を試す必要があると感じたのです。
僕はこれまで、生き馬の目を抜く婚活市場で、拒絶の嵐にさらされてきました。
でも、今回はサヤをどうしても逃したくなくて、めちゃくちゃ恐怖がこみ上げてきました。
その恐怖を打ち消すために、サヤの本音を聞き出す質問をぶつけてみることにしました。
サヤの理想の男性像
僕:「じゃあ、サヤの理想の男性像を教えてよ?」
サヤ:「え?理想の?」
僕:「そう。理想の。こんな人だったら、結婚してもいいかなと思える男性のステータスを教えてくれ。」
僕はそう言いながら、内心では(学歴、年収などのステータスにはこだわらない、と言って欲しいなぁ・・・)と淡い期待を寄せていました。
サヤの答えは、そんな僕の期待をガッツリ覆すものでした。
サヤ:「まず、学歴は最低でも大卒かな。私は大学のステータスにはこだわりはないけど、大卒でないと話が合わない気がするから。」
僕:「そ、そうか・・・大卒ね。(やべ、俺、高卒だ・・・)」
サヤ:「あと、年収は最低でも私の2倍は欲しいかなぁ。」
僕:「に、2倍ね・・・(やべ、俺、たぶんサヤより年収が低いぞ・・・)」
サヤ:「私は別に、大企業に務めているとかにはこだわりはないよ。そもそも、起業する人を応援したいし。」
僕:「そうか!(ホッ!ここだけは何とかクリアか?俺は起業する予定だし。でもさっきの年収2倍とは相反するぞ。起業していきなり稼げるケースは珍しいと思うけど・・・)」
サヤ:「あ、あと、母親から『バツイチだけは絶対やめとけ!』って言われてる。」
僕:「そ、そうかい。(やべー!俺、戸籍上未婚だけど、限りなくバツイチに近い経験者だ・・・)」
僕がサヤに抱いていたわずかな希望は、ガラガラと音を立ててくずれていきました。
僕の脳内ストレス数は最高値に達しました。
と同時に、急にお腹が痛くなってきました。
ストレス性の腹痛
僕は、疲れやストレスが胃腸に来るタイプです。
人によっては頭痛や肩こりなどですが、僕は完全に胃腸タイプなので、サヤとの会話のストレスが、ダイレクトにお腹に来ました。
僕:「ちょっとトイレに行ってくるね。」
僕は、学食のテーブル席を急いで立ち上がると、トイレに駆け込みました。
案の定、ストレスから来るバリバリの下痢になりました。
僕は、トイレで頭を抱えながら、もう全てがどうでもよくなってきました。
これまでは、自分が年上ということもあり、サヤに自分のポテンシャルを感じさせるために、どこかカッコつけていたというか、あまり自分のことを語り過ぎないようにしてきました。
でも、そんなちんけなプライドも、お腹の中から便器に流れ出ていきました。
もうダメだ・・・
こうなったら、すべてを洗いざらい話してやる!
そして、サヤと出会えたことに感謝して、今日で終わりにしよう。
どうせダメになる運命なら、華々しく砕け散ってやる!
ガード無しで思い切り戦う
守りを固めて傷つかないようにするより、思い切りパンチを振り回して、カウンターパンチを食らってマットに沈もう!
悔いの残らない戦いをしよう!
そう思って、僕はトイレを勢いよく流しました。
お腹の痛みはすっかり治まっていました。
覚悟を決めたら、なぜか清々しい気持ちになりました。
今日、サヤと過ごせる残された時間は、あと数時間でしょう。
この時間を大切にするためにも、僕はサヤに全力でぶつかることにしました。
トイレから戻って学食の席に着くなり、僕はサヤの目をじっと見つめながら、言いました。
僕:「俺は、サヤの理想の男性像とは程遠いタイプだよ。今からそれを、証明してあげる。」
サヤは、驚いた表情で、目を丸くして僕の方を見つめました。
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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