From シンヤ&サヤ(男女のパートナーシップ研究所)
(→前回のつづき)
※僕自身の過去の「結婚できない体験談」の続きです。
年末に結婚式を挙げて新婚旅行に旅立った僕と彼女は、年末年始を旅行先で過ごすことにしました。
海外旅行ではなく、国内のとある島でした。
自然が多く残っている島で、山が多いので山登り系のアクティビティーが充実しています。
正直、僕はあまり山登りに興味がなく、唯一の山登り経験は20代前半の時に富士山頂に登ったぐらいでした。
最初で最後がいきなり富士山だったので、今思い返せばかなりハードルが高かったのですが、若かったので体力で何とか乗り切りました。
一方で、彼女は山登りが大好きなタイプでした。
年に数回は連休を取って、一人で沖縄などの離島に行って世間との交流を断った状態で、山登りをしたり、ウォータースポーツをしたりと、かなりアクティブな休日の過ごし方をしていました。
ちなみに僕は、彼女の旅に同行したことは一度もありませんでした。
仕事がジーンズショップの店長だったので、連休が取りづらくて、休みが合わないのが一番の理由でした。
でもおそらく、もし僕の休みが取りやすい職業だったとしても、連休には僕らは別行動していたでしょう。
彼女はとにかく、一人でのんびりすることが休暇だと言っていました。
そして、南国の島に行っている最中には、僕でも連絡がほとんど取れない状態でした。
行く前の「行ってきます」と、帰ってきてからの「ただいま」ぐらいしかメールのやりとりはありませんでした。
そんな状態で3年間付き合ってきたのです。
この頃にはあまり気にしたことはありませんでしたが、僕らが3年間続いた理由は、「接触時間が短かったこと」が最大の要因かもしれません。
3年付き合う中で、2日以上一緒に過ごした期間は一度もなかったのです。
「お互いの仕事のスケジュールが合わない」という物理的な制約が理由でしたが、ある意味その制約が、僕ら2人にとって心地よい距離を保ち続けることができた理由でもありました。
初めて2人で24時間以上過ごす期間
つまり今回の新婚旅行が、僕たち2人が初めて24時間以上過ごす期間でした。
それが何を意味するかは、この時の僕はまったく分かっていませんでした。
付き合いから3年が経ち、お互いの欠点を覆い隠して「恋は盲目」状態にする恋愛ホルモンの分泌が収まってきている時期と、初めて24時間以上過ごす時期が重なったのです。
何も起こらないわけがありません。
でもこの時の僕は、ぜんぜん覚悟ができていませんでした。
「彼女は結婚式の日から、また元気を取り戻している。俺たちはまた、最初の頃のラブラブ状態に戻っている。何も問題はない」
と思っていました。
しかい実際には、男女がラブラブ状態から抜け出して1度すれ違いゾーンに入ったら、また元に戻ることはありません。
ラブラブゾーンを1度抜けたら、2度と戻れないメカニズムなのです。
その後は、ケンカしたり対立する競争ステージに突入することは避けて通れません。
そして、そのステージは結婚式の前にすでに始まっていました。
でも、僕たちはその時には感情を爆発させることなく、グッと押さえ込んでこらえました。
そしてまた、お互い別々の日常生活に戻ることで、自然に感情が薄まってごまかしていました。
でも今は、新婚旅行中です。
これから数日間、お互いが目の前にい続ける状態が続くのです。
逃げ場はありません。
感情をこらえても、発散する場がないのです。
脳をごまかすために全然違う話をして盛り上がれる友人もいません。
僕たちは新婚旅行中に、初めて「感情をオモテに出しながらのぶつかり合い」を経験しました。
1度だけではありません。
何度もぶつかりました。
最初の衝突
一番最初の衝突は、運転中に起こりました。
第三者が聞けば、全然たいしたことではありません。
(だいたい、夫婦ゲンカの元なんて、たいしたことがない場合がほとんどです)
信号が全然ない道をレンタカーで運転している時に、彼女が助手席で何となく話の流れで、
「私も二輪の免許を取って、こういう道を走りたいな~」
と言ったのがきっかけでした。
僕はそれを聞いて、ちょっと驚きました。
なぜなら、彼女は日頃から、
「軽自動車は危ない。普通車と比べて、事故った時に、死ぬ確立が○○倍になる」
という発言を繰り返していたからです。
僕は自分の両親が軽自動車派で、自分も自分の車(普通車の小型1300CC)を買う前は親の軽自動車を借りて運転していたので、「軽自動車でも、日常使いなら必要十分」と思っていました。
だから彼女の発言にちょっとモヤモヤしたものを感じていました。
ただ、小さな車は衝突した時に大きな車に当たり負けすることは間違いないので、特に反論はしませんでした。
でも今回の彼女の「二輪免許取りたい発言」には、さすがに矛盾を感じました。
「普段、いつも軽自動車は危ないって言っているのに、二輪なんてもっと危ないじゃん!」
と思わず突っ込んでしまいました。
男性あるあるパターン
これは、男性がよくやりがちなケンカの火ダネの付け方パターンです。
女性は、こういう時に本気で言っているわけではありません。
ただの「言葉の試着」です。
服を試着するように、色んな言葉を口にして、自分の感情にフィットするかどうか試しているのです。
でも、男性にとっての言葉は、文字通り「意志の言語化」です。
男性脳には、パートナーの言葉は「私は○○するぞ!」という宣言に聞こえます。
当然、それが実現可能かどうかを瞬時にジャッジして、問題や矛盾があれば即座に指摘します。
そして、軌道修正しようとするのです。
彼女のリアクション
この時の僕も、すかさず彼女に反論しました。
「まさか二輪免許を取る宣言をするなんて、思ってもみなかった!そんなの危ない、危ない!ふだん軽自動車に乗らない宣言をしているのに、矛盾してるでしょ?」
すると、彼女の表情はみるみる険しくなっていきました。
それは、今までに見たとのない位、怒りがあらわになっている表情でした。
彼女は僕の睨みながら、声を荒げて言いました。
「そんなの私の勝手でしょ!なんでダメとか言うの!」
僕は驚いて、思わず運転から注意がそれてしまいそうになりました。
彼女がそんな言い方をしている所を見たことは、一度もありませんでした。
僕は、なぜ彼女が怒っているのか、まったく理解できませんでした。
自分はただ、彼女の矛盾を指摘しただけなのに・・・
なぜ怒られなければならないんだ?
理由は分かりませんでしたが、自分が地雷を踏んでしまったことだけは分かりました。
これが、僕らの初めての感情的な衝突でした。
・・・つづく。
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