From シンヤ&サヤ(男女のパートナーシップ研究所)
(→前回のつづき)(→この記事のシリーズを1話目から読む)
※サヤと出会ったばかりの頃の体験談を、シンヤ視点(男性脳視点)で描いたストーリーの続きです。
1回目のデートが終わる前に、2度目のデートの約束を取り付けることができた僕は、さっそく次のプランを練り始めました。
距離の遠さを感じさせないためには、次回も僕が静岡から東京に来た方が良いだろうと思いました。
2度目も、欲張らずに1回の食事のみにとどめておくことにしました。
前回のハンバーグレストランが、かなり良い感じだったので、今回も東京のレストランなら大丈夫だろう、と何となく思っていました。
それが間違いの始まりでした・・・
僕は東京にはまったく土地勘がないので、ネット情報を頼りにレストラン情報を調べました。
本当は土地勘のあるサヤに場所選びをしてもらうのがベストだと思いますが、ここはあえて僕のリサーチ力と行動力を見せる良い機会だと思いました。
僕はぐるなびなどのクチコミサイトで、女性向けっぽい雰囲気のレストランを探しました。
写真では、どこもかなり魅力的でオシャレな雰囲気に映っていました。
僕は、見つかる限りたくさんの候補レストランを見付けて、その中からさらに3つに絞り込み、店のリンクをサヤにLINEで送って、選んでもらうようにしました。
この辺りの流れも、すべて本で学んだ方法です。
「デート場所は、女性に選択肢を与えましょう。ただし、丸投げは厳禁です。『君の食べたいものなら、何でもOK!』みたいなセリフは、女性は負担に感じるので、NGです。男性が3つまで選択肢を絞ってから、提案して彼女に選んでもらいましょう。」
という考え方です。
チーズフォンデュのオシャレなレストラン
最終的にサヤは、チーズフォンデュがウリのオシャレな雰囲気のレストランを選びました。しかも、「個室でゆったり」と書いてあります。
写真では、本当に良い雰囲気に映っていました。
僕は、勝手に東京のオシャレなビルの、夜景が見える場所を想像していました。
「女性に人気」と広告に書いてある以上は、きっと1回目のデートの時のレストランよりも、ロマンチックでオシャレな雰囲気に違いない!
と思い込んでいました。
でも、その思い込みは、完全に外れることになりました。
お疲れ気味のサヤ
1回目のデートの時とは違う駅の前で待ち合わせでした。
しばらく待っていると、サヤが現れました。
サヤは神奈川の方で前日から泊まり込みのセミナーだったらしく、カジュアルな服装に、着替えの入った大きなボストンバッグを持っていました。
僕はさっそく、ボストンバッグを自分が持って、Googleマップに従って店を探し始めました。
サヤは、昨夜あまり寝れなかったらしく、寝不足気味で少し疲れているようでした。
今回の駅前の通りはごちゃごちゃしていて、人の数が多く、特に若者が多いので、全体的に騒がしい感じでした。
前回の品川駅前とはまったく違った雰囲気です。
早く店に入って、静かな空間で話したいなぁ~と思いながら、Googleマップに従って進んでいたら、ある雑居ビルの前にたどり着きました。
ビルの前には、居酒屋の呼び込みのアルバイトのお兄さん&お姉さんたちが、通りを歩く人々を呼び止めています。
「え??まさか??このビルじゃないよね?まさかねぇ~!」
僕は、もう一度ビルから離れて、確認しました。
やっぱりこのビル
でも、何度確認しても、やはりGoogleマップはこのビルを指しています。
う~ん・・・本当に、こんな下世話な雰囲気の雑居ビルの中に、オシャレなチーズフォンデュの個室スタイルのお店があるんだろうか?
僕は嫌な予感がしながらも、「中に入ったら、きっとすごいオシャレな空間が開けたりして!なんたって、ここは東京なんだから!」と、期待を捨てずにビルのエレベーターに乗り込みました。
エレベーターは驚くほど狭く、立った状態で大人が4人乗れれば良い方、という感じでした。
これほど狭いエレベーターは、僕の地元の静岡では、めったにお目にかかれません。
サヤの表情を見ると、普通でした。東京では、これがデフォルトなのか?と思っていると、すぐに「チン!」と音がして、エレベーターが止まりました。
ドアが開くと、いきなり目の前に居酒屋っぽい雰囲気の、ザワザワしたお店の入り口が出現しました。
エレベーターのドアから数歩先ぐらいの距離感です。
「え?この店??マジで?!」
僕は驚きました。
この店はどう見ても、「大衆居酒屋」です。
間違いかな?と思いつつも、念のため店の前にいた若い男性店員さんに名前を言いました。
すると、ちゃんと予約されていました。
店員さん:「新村様、2名でご予約ですね。ご案内しま~す!こちらへどうぞ!いらっしゃいませ~!!」
他の店員さんたち:「らっしゃいやせ~!!」
僕(え~!!ここ、どう見ても居酒屋じゃん!ノリも居酒屋じゃん!何コレ!!)
でも、もう後には引けない感じでした。
店の中は、まさに大衆居酒屋のノリで、お客さん達の大きな騒ぎ声が聞こえてきました。
ぜんぜん女性向けの雰囲気ではない・・・
僕は、サギにあった気分になっていました。
ひどい個室
そして案内されたのは、「個室」という名の、薄いパーテーションで仕切られた、居酒屋の一席でした。
ただの長テーブル席に、パーテーションを立てて隣の人が見えなくさせただけの空間です。
しかも、僕らの席は恐ろしく狭いです。
真ん中に座って両手を広げたら、左右のパーテーションに当たってしまうぐらい、狭いです。
薄い板を隔ててすぐ両隣に他のお客さんグループがいるので、当然、話し声や笑い声が、バリバリに聞こえてきます。
さらに、僕らの個室は禁煙で選んだのに、両隣は喫煙OKの席らしく、パーテーションを飛び越えて、タバコの煙が入ってきます。
サヤが苦しそうに咳きこみました。
(うわぁ~!最悪だ!完全にサギだ!これはひどい!)
僕は怒りがこみ上げてきました。
僕:「ちょっとこれはひどいね・・・ただの居酒屋じゃん?」
サヤ:「うん・・・何となく嫌な予感がしてたんだけど、当たっちゃった。東京は、こういうことが良くあるのよ。」
僕:「そうなんだ・・・店を変える?」
サヤ:「いや、いいや。私、今日ちょっと疲れてるから、今から移動するのはしんどい・・・」
僕:「分かった。じゃあ、このまま予約したコース料理が出てくるのを待とう。」
僕は、下調べをしなかったことを激しく後悔しました。
地元静岡であれば、必ずデート現場は下見に行くようにしてきました。
まずは1人で店に入ってみて、どんな雰囲気か確かめます。
店に入ることができなかったとしても、店の外の駐車場から店内の様子を覗いたりできます。
でも、今回は東京なので、下見のためだけにわざわざここまで来るのを怠ってしまいました。
その結果が、これです・・・
僕はこの時、現場を下見していない場所をデートスポットに選ぶ危険性を身にしみて感じました。
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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